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運動を科学する              リンク・剣道と呼吸相
 

テーパリングについて

競技大会で最高のパフォーマンスを発揮するために、トレーニングを減らして、疲労を除去し、万全の態勢で競技大会を迎えられるように調整することをテーパリングといいます。

トレーニングの量・頻度を減らしても、強度を維持すればパフォーマンスはあまり低下しないこと、さらには量を減らすことによってパフォーマンスの向上が期待できることがわかっています。

現在、テーパリングの期間は1〜2週間が一般的なようです。テーパリング期間が長くなると、パフォーマンス低下の危険性が増すため、研究報告でも4〜28日以内で行うことが勧められているようです。

簡単に言うとこういうことです。

大会前に疲れないように、手を抜いてUPや調整を行うのは×

大会前に大会よりも強い運動を行うが、いつもより時間や回数を減らすのは◎

 

オープンスキルとクローズドスキルについて

いろんなスポーツの種目がありますが、スポーツの種目はオープンスキルクローズドスキルに分類できます。
オープンスキルは、柔道や相撲などで相手が常に変化するような状況下で発揮される技能のことで

クローズドスキルは、重量挙げや体操などの外的要因に左右されない状況下で発揮される技能のことです。
テニスやサッカーなどはどちらのスキルが必要なのでしょう?これらの球技は、オープンスキルとクローズドスキルが混在しています。サーブやリフティングはクローズドスキルにあたり、ラリーやレシーブ、11(2)の攻防などはオープンスキルにあたります。
簡単に言うと
クローズドスキル:敵がいない状況での技術
オープンスキル:敵がいて、変化する状況に対応して良いプレーを選択できる判断力とそれを実 

行できる技術力

〜トレーニング方法〜

クローズドスキル:環境が安定し予測可能な状況下で行うものであるので、一定して安定した典型的な運動パターンの形式を要求する。そのため、同じ運動を習慣的に繰り返すことにより、その運動を固定化・習慣化させることにある。

オープンスキル:変化し流動的な状況への時間的空間的適応と予測的行為である。時々刻々と変

化する事態で先を見越した反応を選択しさらにその状況に適した動きが必要である。そのため、ゲームで起こりうるさまざまな場面を想定しその場面での攻撃パターン防御パターンを1つずつ学ぶことが大切である。また、ゲーム分析を通して相手の動きを研究し、相手はどう動くのか予測力を高めるための練習もひつようである。

 

文脈干渉効果

学習や練習のための反復がその時の環境と結びつけられてしまうため、環境が違うと 思い出せなくなるという現象のことを文脈干渉効果と呼びます。

学習者の技能水準,課題の困難度,練習環境が文脈干渉効果には影響するとして,初心者には低文脈干渉が,熟練してくると高文脈干渉が,また単純な課題ほど文脈干渉効果が高いといわれています。

Shea and Morgan(1979) は,6 枚のバリアのうち3 枚を,異なる3 パターンの方法で,できるだけ速く倒すという課題を用いてブロック練習(AAAAA…,BBBBB…,CCCCC)

ランダム練習(ACBCBABCABAC) を比較した.その結果,練習中はブロック練習が優れていたが,保持テストでは練習中パフォーマンスの上がらなかったランダム練習が優れていたと報告している.この効果は文脈干渉効果と呼ばれ,以来多くの研究によって確認されている.

(contextual interference effect ; Shea &Morgan, 1979による)

要するに練習を行うときには、

初心者:繰り返し練習を中心に行う。同じ練習を反復するのです。

 

熟練者:練習をランダムに行う。ABCの練習があれば、ランダムに行うのです。

赤筋(遅筋)と白筋(速筋)

赤い筋肉は遅筋(ちきん)と呼ばれ、収縮は遅いものの、繰り返し収縮しても疲労しにくいという特性を持っています。
 一方、白い筋肉は速筋(そっきん)と呼ばれ、速く収縮し発揮する張力も大きいという特性を持っています。さらに速筋は、疲労しやすく持久性能力が低い「FG線維」と、比較的疲労しにくい性質を持つ「FOG線維」に分かれます。

 

 

○ヒラメとマグロ
 この違いを分かりやすく、わたしたちの生活に身近な「魚」を例にしてみましょう。
 白い筋肉(=白身)の魚の代表にはヒラメがあげられます。ヒラメは主に海岸線に近い砂地の海域で、普段はじっと砂に隠れるように住んでいます。そして、目の前に獲物となる小魚を発見すると、すばやく追いかけたり、外敵からすばやく逃げるため、ヒラメのからだは速く収縮する速筋が多く存在しています。一方、赤い筋肉(=赤身)の魚の代表にはマグロがあけられます。マグロの中でもクロマグロは太平洋を横断して北アメリカにつくと、進路をかえて成長を続けながら、日本近海まで大海原を回遊するため、遅く収縮する遅筋が多く存在しています。

 

 

 

○短距離選手は速筋、マラソン選手は遅筋
 ではなぜ、遅筋が赤いのでしょうか?
 それは、筋肉に酸素を貯える「ミオグロビン」(赤血球の中にある)というたんぱく質を多く含んでいるからです。マグロなどの魚が大海原を回遊できるのは、ミオグロビンが貯えた酸素を使って、エネルギーを生み出す能力が高いからです。このことを、人間の場合で考えてみましょう。
 例えば、陸上競技の短距離走や砲丸投げなど、短時間に爆発的な力の発揮を必要とする種目の一流選手では、主働筋(主に運動に関わっている筋肉)に速筋の占める割合が大きくなっています。実際、100m走の一流ランナーの主動筋は80%以上が速筋であったという報告があります。
 その反対に、マラソンやスキーの距離競技など、持久的な種目で優れた成績を持つ選手では、遅筋線維の占める割合が多く、マラソントップランナーの足は約90%が遅筋であるという報告もあります。

 

 

 

トレーニングによって遅筋と速筋の割合は変化
 これまで遅筋と速筋の割合は生まれながらに決定され、トレーニングによる変化は少ないと考えられていました。しかし、近年、瞬発的なトレーニングをすると速筋に、持久的なトレーニングをすると遅筋に変化することがわかってきました。ということは、勝つためには種目に応じたトレーニングをすることが必要なんです。まあ、君たちは中学生なので全て鍛えて下さい。

ストレッチによる筋力の低下

【ストレッチングの一般的効果】
ストレッチングには、リラックスしてゆっくりと筋を伸ばす静的ストレッチング、反動動作を利用するバリスティック・ストレッチング、筋力発揮を伴うダイナミック・ストレッチングなど、さまざまなものがあります。これらに共通した効果として、筋の余分な緊張を除き、関節可動域(ROM)を広げることが上げられます。体内のほとんどの筋は、運動をしていないときでも多少の緊張を保っています。長時間同じ姿勢でいると筋の緊張が徐々に高まり、ROM が低下してきます。こうした状態では、なめらかな動きができなかったり、急に関節を大きく動かすことで障害が発生したりしますので、ストレッチングによって筋の余分な緊張を取り除くことは当然重要と考えられます。
【静的ストレッチングによる筋力低下】
ところが最近、310分の静的ストレッチングの前後で筋力を測定すると、最大挙上負荷、等速性筋力などの動的筋力(McLellan ら、2000Cramer ら、2004など)、等尺性筋力および筋力発揮速度(Nelson ら、2000など)がいずれも低下してしまうことが示されました。筋力低下は最大で約30%にも及び、その効果はストレッチング終了後45分間ほど持続するようです。また、筋力低下と平行して、筋の電気的活動も低下することから(Fowles ら、2000)、この筋力低下は、筋線維の動員能力の低下によることが示唆されます。筋力・パワー系競技の選手にとってこれは大問題です。

 

 

【体の「固さ」と障害】
それでは、障害とストレッチングの関連はどうでしょうか。関節可動域(ROM)の大きさとスポーツ障害の関係については、多くの疫学的研究があります。それらをまとめると、「ROMが極端に狭い場合には障害の原因になるが、必ずしもROMが広いことが障害を防ぐ要因にはならない」といえると思います。逆に、ROMが広すぎると、関節の「ゆるさ」につながり、障害の危険性が増すとの報告もあります。体操競技のように、ROMが直接的に重要となる競技もありますので一般化はできませんが、そもそも関節の「ゆるい」傾向のある選手にとっては、ストレッチングのやり過ぎは問題となるでしょう。

 

 

運動技能が上達する課程

運動は、やり方を理解し、練習を積み重ねることにより上達していきますが、すぐに上達するとは限りません。上達の過程は、「試行錯誤の段階」「意図的な調節の段階」「自動化の段階」の3つの段階に分けられます。それぞれの段階について考えてみましょう。

 

 

試行錯誤の段階」…運動を始めるときに、どのようにやっていいのか、どうやればうまくできるように

なるのか、よくわからなことがあります。「できない」「できた」を繰り返しなが

ら、どのような練習などをおこなえば上達していくか、自分の動きとして把握して

いくことができるようになる段階です。

「意図的な調節の段階」…試行錯誤の段階で、不安定だった動きが、集中し、運動のやり方を変えること

により、意識的にコントロールができ、安定して行うことができるようになる

段階です。

自動化の段階」…特別な意識を向けなくても、どのように動けば良いのか瞬時に判断ができ、自然に運

動ができるようにるなことです。この「自動化」の段階まで来たならば、運動技能が

上達したといえます。

 

 

運動技能の上達と熟練した動作

興味・関心のあるスポーツは、見る機会が多く、一流選手のプレーを見ることは、自分自身に足りない部分があることに気づいたり、練習方法を考えたり、いろいろなことが参考になります。

熟練したプレーには、4つの特徴があります。

陸上のハードル競技を例に、見る観点を分析して考えてみましょう。

@「動作の正確さとタイミング」…スタートから最初のハードルまでの歩数、ハードルを越すときの足の角度やタイミングが最後のハードルまで続いているか?

A「動作のすばやさ」…走っているときやハードルを越しているとき、素早さがあるか?

B「動作の安定性」…ハードルを越すときの空中での上体が安定し、ハードルを越したあとに、着地した足がぐらつかないで安定しているか?

C「一連の動作のまとまりとスムーズさ」…走るとき、ハードルを越すときの手や足のスムーズさ、そしてなめらかさがあるか?

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